日本画コースの先生たちってどんな人? ~作品からインタビューまで~

こんにちは。日本画コースの山本雄教です。
今回は日本画コースの先生方三人を改めてご紹介させていただきます!

これから入学をお考えの方はもちろんのこと、在学生の方も、先生方ご自身についてのお話しを聞く機会はなかなか無かったりするのではないでしょうか。
作品やコメント、インタビュー動画などを通して、先生方の様々な一面をご覧いただければと思います!

それでは、まずは松生歩先生から↓

松生歩|MATSUIKE Ayumi


【プロフィール】
1981年、京都美術展大賞受賞。1982年、京都市立芸術大学日本画科卒業。1983年、山種美術館大賞展大賞受賞。1984年、京都市立芸術大学大学院修了。1987年、大阪市より咲くやこの花賞受賞。同年、京都市芸術新人賞受賞。1990年、菅楯彦大賞展大賞受賞。1995年、京都府文化賞奨励賞受賞。無所属。個展を中心に発表を重ねている。生命の根源についての考察を基とし、自作の詩や物語の中でテーマを掘り下げ、日本画の作品とからめての展示を常とする。宮沢賢治の童話をもとにした仕事も多い。


【作品紹介】
「浴後」 1982年 50号F

永遠の一瞬を描きたいと思いました。
グラスの氷、かげろう、咲く花、少女、それぞれの美の一瞬の交叉を画面に とどめたいと思いました。 
一瞬をつかめたら永遠を手にしたのと同じだという意味の、禅の言葉に惹か れていました。


「午後の慈光」 1983年 100号F

私にはある不思議な体験があり、それ以来、存在物は全て何ものかに愛され迎えられ 生かされているとしか 思えなくなっていました。
この作品はその体験の時に出会った形のない存在に向かっての片便りとして、感謝の気持ちを描いたものです。


「初夏の朝 本郷の村で」 1984年 150号

奈良の大宇陀町、阿騎野の風景です。
祖父が幼少期を過ごした地でもあり、祖父が亡くなる直前の病床に、描きあがったばかりの作品の写真を持って行って見せたら、涙を流して喜んでくれました。
この場所には道路ができ、もうこの景色は見ることができません。 


「胸の奥に」 1988年 20号F

私たちは見えない何かに生かされている。
全ての存在の奥の奥には、心をも越えた、何か存在の核のようなものが等しくあり、それを通じて全ての存在は繋がっている。
そう思うたび、自然と感謝の思いが湧きあがってきます。


「気配」 2005年 50号F

奈良県桜井の山の辺の道近くの池です。 うっそうとした暗がりから、時を超えて何かが現れそうな気配にとらわれました。 非日常の世界はどこにでも口を開けて誰かを待っているのかもしれません。 聖なる静けさはいつも制作の理想です。


【インタビュー】


こちらは大学のYouTubeチャンネルにアップされているインタビューです。先生が漫画家を志されていた頃や、写生についての想いなどを話されています。
先生の作品やお話しを聞いてみると、何を大切にされて日本画コースのスクーリングや課題を考えられているかも見えてくるような気がします!


続いて山田真澄先生↓

山田真澄|YAMADA Masumi


【プロフィール】
1990年東京芸術大学大学院保存修復技術日本画修了。2011年「唐招提寺金堂荘厳展」多摩美術大学美術館。2011年個展「邂逅」山田真澄日本画展、近鉄百貨店奈良。2014年個展「山田真澄日本画展」近鉄百貨店上本町。2018年「寧楽の会」展出品、近鉄百貨店奈良。2018年「宇宙(そら)に訊(たず)ねよ ミュオグラフィが透視する科学と芸術のミライ」出品、多摩美術大学美術館。2006年~2009年国宝唐招提寺金堂彩色復元事業参画。2014年~2015年重要文化財長福寺本堂内彩色調査参画。2016年~国宝薬師寺東塔初重内彩色復元事業参画。


【作品紹介】
ふと、描きたくなる。心魅かれるものを描いて来た。最近、今更ながらなぜ描きたかったのか考えるようになった。今の瞬間をとどめるために?繋げたいから?たぶん大きな時間の中で、描くという特性を得た私にはこれが役割のようなそんな気がして、筆を動かしているんだと思う。

「光降」 2014年 P12号

空から地へ光となって降り注ぐ。それは命の受け渡しか。


「春光」 2014年 SM

受け取られた光は大地に蓄えられ、生きる力となって咲き誇る


「昇」 2014年 F4号

そしてまた光となって空へ還る。


「あしおと」 2011年  150×75cm

壁を前に立つと背中に多くのあしおとを感じる
この壁はどれほどのあしおとを聞いて来たのか


「昇流」 2014年 F20号

天と地は無数の光となって命のやり取りをしている。


【インタビュー】


こちらのインタビューでは先生が携わられた唐招提寺の調査・復元彩色についてや、写生からどのように作品になっていくのかの流れなどについて話されています。
学外での先生の活動を垣間見ることのでき、興味深いですね~。また、写生についてのお話しは、お花の作品を描こうと思っている方には特に参考になります!

そして最後は後藤吉晃先生↓

後藤吉晃|GOTO Yoshiaki


【プロフィール】
2006年、京都造形芸術大学美術工芸学科日本画コース卒業。2008年、京都造形芸術大学大学院修士課程修了。2019年、「Kyoto Art for Tomorrow -京都府新鋭選抜展-」(京都府京都文化博物館) 同’17。2018年、「第5回 続京都日本画新展」(美術館「えき」KYOTO)。個展「内景」(gallery恵風/京都)。「The NIHONGA」(京都府京都文化博物館) 同’15、16、17。2016年、「Gen -はじまりとおわり-」(京都芸術センター)。個展「景色をつむぐ」(大丸京都店アートサロンESPACE)。2015年、 酒田市松山城址館 能舞台鏡板制作。「MAT 山脇邸襖プロジェクト」(山脇邸/広島三原)。


【作品紹介】

古典に学びつつ、今に生きる私の内面の鏡として 表現を探求しています

「能舞台鏡板松図・竹図」山形県酒田市松山城址館

日々花開く 2018

はなつ 2017

眼裏の庭 2016

しとしと 2021

≪しとしと≫について
今回、私は雨を描きました。
しとしと静かに降る雨。軒先で暫く佇んでいたら、先々のことではなくて今この場の視野に戻ってこれた気がしました。何か久々深く息を吸えた気がして、それが今作制作の契機です。


その場で心に浮かんだ「しとしと」というオノマトペを作品タイトルにしています。
ありふれた身近なものが不意に気になることの多い昨今でしたけれども、「しとしと」も何と的確で不思議な日本の表現だろうと改めて思ったり、なんだか懐かしい思いがしたのです。


雨を描いたと言っても、私が画面に施したのは現場で取材したリズムを紙に燃やし描いただけ。雨そのものを捉えるにはむしろ真逆のような行為にも思います。
ただ、私の見た雨を如何に説明するかから離れることで、観る方それぞれの記憶の中に降る雨になればと願っています。 「しとしと」という言葉のように。


【インタビュー】


こちらのインタビューでは先生が影響を受けた書籍として、杉みき子さんの「加代の四季」についてお話しされています。日本画からだけではなく、様々な分野から刺激を受けて制作されていることが分かります。
通信教育部では、在学中は共通科目として様々な授業をコースに関わらず受講することのできる授業があります。日本画だけではない多角的な刺激を受けられることも大学ならではです!


以上、日本画コースの先生方についてご紹介させていただきました!
また、今回触れられなかった非常勤の先生方は、日本画コースのブログ内の「教員紹介」にてご紹介しておりますので、よろしければぜひそちらもご覧下さい~