【日本画の基礎知識】素材編③~箔~

こんにちは、日本画コースの山本雄教です!
今回の記事では、日本画の代表的な素材の一つである「箔」について紹介させていただきます。

箔とは?

筆者が以前見に行った名古屋城本丸御殿の障壁画の一部。まさに豪華絢爛な輝き。
復元模写にたずさわられている多くの日本画家の方々の手によって、400年前の姿が再現されています。

金属製材料は金、銀、銅、などの金属を加工して他の絵具と同様に絵画の表現に使われています。古くから金壁障壁画などにみられるように、その優美な装飾性が日本絵画の特徴のひとつとされて広く知られています。


箔は金、銀、銅などの金属を薄く打ち延ばして四角く切りそろえたものです。それぞれの材質によって金箔、銀箔と呼ばれ、特に平安時代から江戸時代にかけては、金箔や銀箔を使った絵画や仏像などが盛んに作られてきました。

東大寺の大仏さまも金色に覆われていたそうな...

金箔が作られていく工程が分かる動画。職人さん、すごい...

箔の基本的な使い方

箔は非常に薄く繊細な素材です。このまま扱うのは至難の技...

そこで使うのがこの「あかうつし紙」です。

光沢がありますが、これは片面に蝋が引かれています。

蝋が引かれている面を金箔の上にそっとのせて...

箔ばさみ(竹製のピンセットのようなもの)で軽く押さえると...

このように金箔があかうつし紙にくっ付きます!

こうすることで、薄い金箔を容易に扱うことができるのです。

箔の準備ができたら、貼りたい場所に刷毛などで膠を塗ります。

膠は箔を泳がせるような気持ちでたっぷりと塗ります。

そして膠が乾かないように素早く箔を貼りたい場所に持っていき...

置きます!(この瞬間は毎回緊張します...)

置いたらすぐにあかうつし紙を剥がすと...

このように箔だけが紙にくっつきます!
そして左下の部分が少し失敗して剥がれてしまいましたが...

このように箔を細かくちぎって補修すれば問題なしです!

ちなみにあかうつし紙は使用後に膠を拭き取れば、数回繰り返し使用可能です。

全面に貼ることができました!
箔は乾かすのに時間が掛かりますので、一晩ぐらいはそっとしておきます。

日本画コースでは箔の使い方は学べるの?

日本画コースでは、もちろん箔の使い方をバッチリ学ぶことができます!

植物制作というスクーリングでは、学生さんがそれ以前のスクーリングで描かれたユリの写生を元に、天井画をイメージした装飾的な作品を制作します。

箔の基本的な使い方はもちろん、砂子や面ぷた(和紙と膠を使用したマスキングの方法)など、様々な箔の活かし方を学ぶことができます!

初めて箔を使われる方がほとんどですが、このように見事な作品に!

以上、今回は箔についてご紹介させていただきました。
様々な箔の種類や、先生方や卒業生の方々の箔を使用された作品なども、また次回以降にご紹介できればと思いますので、どうぞお楽しみに!