教員紹介vol.21 小瀧雅道 先生

毎回、本ブログ上で本学通信日本画コースの教員お一人をピックアップし、
作品と共にご紹介していくこの企画。

第21回は、小瀧雅道 先生です。
東京で開催されるスクーリングをご担当頂いています。
今回は、先生がひとつのテーマに基づき、90年代から続けておられる作品群

の中から、2001年以降の5作品をご紹介頂きました。
今年開催された先生の個展も記憶に新しいところですが、見逃してしまった
方は次の機会に是非会場に足を運んでみて下さい!
画面の中で浮遊する、書く行為の響き合いを体感してみて下さい


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小瀧 雅道  Kotaki Masamichi
 担当科目:1,2年次科目





 
1990年代から、文字と絵画の関係性をテーマに、ひらがな的形象と日本画材を使い、文字的なものと絵画的なものの生成する境界、絵を観るのか読むのか混同するような抽象画を制作している。それは、古代からの形象を含む漢字を現代でも使用していることが、東洋画(日本画)の平面的な志向や装飾、物語的な嗜好、平面過多の現代美術、まんが等の表現体に、今でも作用しているであろうことを含んだ重要なテーマだからです。


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【作品紹介】





NO.236(風神雷神)
2001年 180×540cm 綿キャンバス、墨、岩絵具、純金泥、アクリル絵具


伝統的な風神雷神図を、線描だけで表現できないか考え、墨線や墨点の形象と筆勢を駆使して、風神と雷神に見えるように描きました。







NO.322(海嶺)
2004年 362×637cm ナイロンキャンバス、岩絵具、墨、アクリル絵具


屏風展示の会場写真

深い海に煌めく生命の存在をイメージして描きました。屏風にして海嶺のように起立するように展示しました。



















NO.382(一文字波)
2006年 200×720cm 綿キャンバス、墨、岩絵具、アクリル絵具



大海にうねる波濤が、一直線に正面から迫る様子をイメージして描きました。画面下部の青いぼかしは、「一文字」という浮世絵版画に多用される「ぼかし」の一種で、空間に奥行きや季節を表す効果があります。この作品では、海や波の水平的な動きを表すために描きました。










NO.436
2009年 200×720cm 麻紙、墨、岩絵具、アクリル絵具


墨象の「点でもない、線でもないもの」が、画面に舞い動く様子をイメージして、墨の粒子や岩絵具の粒子と物理の量子や電子など見えない粒子の動く世界を表現しました。









NO.484
2009年 227.7×364cm 麻紙、墨、岩絵具、アクリル絵具

「点でもない、線でもないもの」が、大きく画面に舞い動く様子をイメージして、墨の粒子や岩絵具の粒子と物理の量子や電子などの粒子の世界を表現しました。




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【プロフィール】


小瀧 雅道 (コタキ マサミチ)
1961年 東京生まれ
1984年 東京芸術大学日本画科卒業
1986年 東京芸術大学大学院修士課程日本画修了
1989年 東京芸術大学大学院後期博士課程満期
1999年 第5回フリーマン フェローシップ
      (アメリカ ヴァーモントスタジオセンター 滞在制作)

〈個展/他 抜粋〉
1989年 東京芸術大学陳列館(東京)
1990年 ギャラリーなつか(東京)
1992年 ワコール銀座アートスペース(東京)
1997年 第14回山種美術館賞展(東京)
1999年 The New NIHONGA Traditional(DILLON Gallery,NY/USA)
2006年 第3回東山魁夷記念日経日本画大賞展(ニューオータニ美術館/東京)
2007年 「賛美小舎」上田コレクション展(練馬区立美術館/東京)
2013年 「今日の墨表現展」佐藤美術館(東京)
2014年 第12回「アートプログラム青梅」青梅市立美術館(東京)