教員紹介vol.27 太田利花 先生

毎回、本ブログ上で本学通信日本画コースの教員お一人をピックアップし、
作品と共にご紹介していくこの企画。
第27回は、
太田利花 先生です。


京都・瓜生キャンパスにて2年次科目をご担当頂いています
今回は2005年以降の作品の中から、風景画を中心に5作品をご紹介頂きました。

箔表現のバリエーションの豊かさや、習作を経て大作に臨まれる制作課程を伺えるのも興味深いです。
先生ご担当の静物、植物課題のみならず、これから風景課題に取り組まれる方も是非ご参考にして下さい



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太田 利花 Ota Rika
 担当科目:2年次科目






こんにちは、主に日本画Ⅱ-2を担当しています。
自宅で頑張って制作している様子をイメージしながら添削をしています。
毎月送られてくる作品からお一人お一人の熱い思いが伝わってきます。
最初は分からないことだらけかも知れませんが、徐々に理解を深めて1年目より2年目と上達していく過程を見るとテンションがあがり、こちらも頑張りを戴いたような気持ちになります。一人で描く自宅課題ですが、応援団のような気持ちでいます。



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【作品紹介】







「行方」2005年 1800×4500mm



機能的でシンプルな形の建物と人工的な光、稼動している様子が未来を予感させるようで、行方というテーマで工場群やコンビナートを描いていました。
この作品は広島県呉市の橋です。海は黒箔、橋は銀箔を使用しています。





「TUGARU モナムール」2006年  5400×1800mm


岩木山と岩木川、津軽平野が広がっている様子を墨、胡粉、金泥、黒箔泥で描き
ました。五能線という弘前から能代まで走るローカル線で学生の頃、 通ってい
ました。当時は列車から見る風景は何気ないものでしたが、時が経つにつれて
郷愁と美しい自然に魅了され、大画面に描きたいと思いました。




「惜春」2010年頃 1455×1120mm


描きたいテーマが決まると、大きな作品にする前に習作のようなもので構想を練
り進めています。
この作品は工場萌えの時期で、実際ある風景というよりは、いろいろな場所で取
材した寄せ集めのようなものです。
海の表現は銀箔の上に墨、絵具を使っています。





「行方(習作)」2010年頃  410×318mm


枯葉が風で舞い上がる姿がすきで、小品で習作を描いています。
葉の周りのパッと広がる絵具は、吹きつけで、吹く力や場所によって上手くできたり、出来なかったり、失敗が多かったのを記憶しています。
舞い上がる葉の美しさを強調するため、背景は金箔にしました。




「砂丘と空」2014年 91×91mm


これも習作で、実際ある風景では無く、砂丘、空、花は別々に取材したものです。
星の下地はは銀箔、上に砂子を使いました。花本来の色を使わず、星の王子さまに出てくるような花を描きたいと思いました。



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【プロフィール】


太田 利花 (オオタ リカ)


1987、90、93、96、2001 個展
2008~2011 「ON THE WAY-それぞれの道」京都府立文化芸術会
2008 「日本画・京都からの表現 NEXTの10年」礪波市美術館
1999~2011 「NEXT」展 高島屋
無所属